医療法人設立のメリットとデメリット

医院開業をお考えの先生の中で、開業後の医療法人の設立に興味のある先生もいらっしゃると思います。弊社の無料相談や開業を支援させていただいた先生の中にも、当初から医療法人化を意識されている方がいらっしゃいます。

ここでは医療法人を設立することのメリットとデメリットお伝えいたします。

開業前から知っておくと便利なことや、クリニック開業後の経営へと目を向けて医療法人設立によるメリット、デメリットを理解いただければと思います。

医療法人設立のメリット

  • 節税効果がある
  • 事業展開ができる
  • 将来の継承・相続対策ができる
  • 退職金の準備ができる

非常に端的に法人設立のメリットを申し上げると上記のようになります。

節税効果がある

低税率
個人(所得税) 医療法人(法人税)
最高税率
55%
(住民税含む)
17.59%
27.21%※
※800万円を超えた部分のみ

個人事業と法人事業では根本的に税率が変わっています。

所得によりますが、個人では最大55%もの税金がかかってしまうところ、医療法人ではおおよそ18%程となるため、手残りとなる金額を増やすことができます。

給与所得控除

簡単にいうと勤務医に戻るイメージです。

一度開業をすることで個人事業主になるのですが、医療法人化を行うと今度は医療法人から役員報酬が支払われるので、「給与」として所得を得ていくことになります。つまりまた会社員のようになるのです。

結果として給与所得控除が受けられるようになりますので、その分の節税効果があります。

理事報酬の活用、所得分散による課税額の縮小

家族を理事に入れることで、医療法人の理事報酬を支払うことができます。

給与を理事長一人に集中させてしまうと個人の納税額が大きくなります。
そのため、理事長の給与を抑えて家族に分散することで、家族単位で見た場合の収入は同額でも課税額は小さくすることができます。

事業展開ができる

医療法人を設立すると、分院の設立や自前の通所リハビリテーション(デイケア)施設などの介護事業を運営することができるようになります。

高度不妊治療専門クリニックの開業、展開の例でもお話をしていますが、医院開業後の事業展開を開業前から計画し、段階を踏んで分院の設立を行うなどが可能です。

事業展開は先生のやりたい医療を追求していく中で考えていきましょう。開業時点ではできないことも、うまく医療法人を活用して達成できる場合があります。

また分院展開を進めていくと、経営という面でやりがいを感じられる先生もいらっしゃいます。

将来の継承・相続対策ができる

例えばお子様も医師でクリニックを継がせたい場合、個人事業のクリニックを承継する場合は多額の相続税がかかりますが、医療法人の場合は理事長の変更を行うだけでクリニックを承継できます。

先生ご自身のライフプランとして、お子様が将来ドクターになり後を継ぎたいという場合に、相続税を抑えお子さんの負担を減らす意味でも、法人設立を行うことが対策となります。

低税率で退職金の準備

所得分散をうまく使いながら、法人で貯蓄を続けます。

法人で蓄えたお金は最終的に退職金という形で受け取ることができます。

退職金から控除分を引き、その上で残った額の1/2のみに課税となるのでかなり低い税率で退職金を受け取ることができます。

個人開業医には退職金の準備は難しいため、医療法人設立による大きなメリットの1つと言えるでしょう。

参考:国税庁 退職金と税 退職金にかかる税金所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額の計算方法(令和2年分)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/02_3.htm

医療法人化のデメリット

  • 事務処理が煩雑になる
  • 先生の月収が固定される(役員報酬として決定するため。ただし次の期には変更可能)
  • 社会保険の加入が必須になる

事務処理が煩雑になる

この点で医療法人化を渋っている先生が多く見受けられます。

運営管理が複雑になり、事務処理が多く煩雑です。そもそも法人を設立するための手続きがなかなかに面倒だと感じられるものです。

医療法人化すれば毎年の事業報告書作成、理事会の議事録作成の手間も増えてきます。

弊社では法人設立の書類提出のサポートから、法人決算関連サポートとして各種書類作成のお手伝いもしております。もし事務手続きにおける先生の負担を軽減することができれば、デメリットとして小さくできるかもしれません。

しかしどうしてもそうした面倒なことが増えるのが苦手だという先生にとっては、この点は非常に大きなデメリットになるでしょう。

先生の月収が固定される

こちらは先生の収入が役員報酬として固定化されることによるものです。個人事業主の場合、その月の手残りが所得ですが、医療法人では期内に決定した報酬にて固定です。

実際には所得こそ固定化されていても、使える経費があることなどから大きなデメリットにはならない場合がほとんどです。

期ごとに役員報酬の決定するため、1年ごとに変更を行うことも可能です。

社会保険の加入が必須になる

役員、従業員とも健康保険・厚生年金に強制加入になります。
医療法人と従業員の労使折半となり、双方の金銭的負担が増加します。

役員の場合、個人で加入している生命保険の掛け方を見直しする必要があります。

但し、厚生年金は公的年金制度が破綻せず将来現在と同じように年金給付が受けられるのであれば加入することはメリットになりえます。

また医師会に加入されている先生の場合、医師国保に加入することが可能です。
医療法人化後も医師国保は必要な手続きを取れば継続が可能です。

医師国保にもデメリット(自家診療分の保険請求ができないこと等)がありますが、保険料が割安になる場合が多く、医療法人化後も医師国保を継続したほうが良いケースがあります。

FPサービスは開業後の経営コンサルティングが本業です

医院開業だけであればどの業者さんでもたどり着けます。

しかしその後の経営を軌道に乗せて、計画に沿った法人化による分院展開や将来の相続対策にまで目を向けていくと、しっかりとしたクリニック経営が必要です。

医院開業という手段からどのように展開していくか、医師のライフプランと照らしての計画と対策立案などが必要になってきます。

医療法人化も考えながら開業準備をしたい、医療法人設立をした方が良いかなど、一度弊社コンサルタントにご相談下さい。

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弊社で開業された先生の声

川田耳鼻咽喉科クリニック
川田 和己 先生

開業した後の医療法人化にも興味があった私としては、FPサービスの開業支援の方針や開業後もフォローしてもらえる姿勢に共感し、FPサービスと開業コンサルティング契約を結ぶことを決めました。

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